1.埼玉スタジアム2002のピッチを探検しよう!
1.埼玉スタジアム2002のピッチを探検しよう!
Q1ピッチはどんな種類の芝生ですか?
A1常緑の寒地型芝のミックスです。
Jリーグの規定により、試合を行うグラウンドは、年間を通じて常緑の芝でなくてはなりません。
日本では、ほとんどの競技場で、「寒地型芝草」か、もしくは、「暖地型芝草+ウインターオーバーシーディング(WOS)」の2系統の芝草を育成しています。
埼玉のこの地域は、初夏~晩秋にかけて高温多湿。通常でしたら、「暖地型芝草+ウインターオーバーシーディング(WOS)」により、常緑の芝にする方法を選びたくなります。しかし埼スタは、観客のみなさんがサッカーを観戦しやすいように大きな屋根がスタンドにかかっているので、ピッチは日陰の影響により、激しいサッカープレーに耐えうるターフにならないことがシミュレーションで解析されました。そのため、日陰に強い「寒地型芝草」で育成する方法を選びました。
草種の選定にあたって耐暑性、耐干ばつ性、濃緑色、低成長型等の特性を持った品種にしました。また、特定の罹病に対するリスクヘッジのため、同属で数品種を選んでいます。
芝生の種類と品種:3草種(合計7系統)
ケンタッキーブルーグラス(3品種)
・アワード 約5g/平米 代替商品はこちら
・ミッドナイト 約5g/平米
・エクスカージョン 約5g/平米
ペレニアルライグラス(3品種)
・アメージングGS 約10g/平米 代替商品はこちら
・ミッドナイト 約5g/平米
・エクスカージョン 約5g/平米
トールフェスク(1品種)
・アリッド3 約10g/平米 代替商品はこちら
Q2ピッチの土壌の床構造は特別と聞いていますが、どんな床構造なのでしょうか?
A2床砂30cm、独自の地温コントロールシステムを敷設しています。
床砂は、30cmの厚みで、鬼怒川産の4mmアンダーの篩い砂を使っています。ピッチ表面から約25cm下には、芝草の生育を補助する地温コントロールシステムを導入し、パイプが総延長40km敷設されています。
夏期の高温時には冷水を、冬の低温時には温水を、地中に張り巡らせたパイプに流し、芝生を育成しています。地温を機械的に制御するシステムについては、主にヨーロッパ圏で凍結防止や融雪のために使用されている例はありますが、このようなシステムで冷水を流すことは、私が知っている限りでは、世界中で埼スタだけの特殊な設備です。
Q3ドラマチックで激しい試合が多いですが、特に傷みやすいところはありますか?
A3激しい競り合いがあるゴール前、コーナー部分と、ラインズマンの走行部分です。
ゴール前
ラインズマン走行部分
芝の張り替えは、踏圧が激しく摩耗が極端な部分のゴール前(約400平米×2)とラインズマン走行部分(約30平米×2)を年に一回張り替えます。芝の厚みは約5cm。
直径5cmより大きな傷は、六角型の専用ツールにより抜き取り、圃場で2年以上育成した芝草を同様のツールで抜き取り入れ替えます。
圃場で育成した芝草の抜き取り
ピッチの傷んだ部分を苗で張り替え
ご家庭での芝草抜き取り作業(新しい苗の切り取り、傷んだ部分の抜き取り)のおすすめ用品はこちら
寒地型芝用に ○六角リペアツール
暖地型芝用に ○バロネスターフカッター
概ね直径5cm位までの傷は、千切れた芝草の破片を取り去り、浅く穴をあけ、種子を混入した砂で均一に埋めます。
傷みの激しいゴール前の補修作業
※ゴールは試合毎に設置するため、芝管理の際は取り外されています。
ご家庭での散布作業のおすすめ用品はこちら ○ガルデナ ドロップ式スプレッダー
ご家庭でのインターシードのおすすめ用品はこちら ○バロネス スポットシーダー
世界に誇るサッカーの夢舞台、埼玉スタジアム2002を探検しよう!